30年間日本で生活し、1年間ニュージーランドで暮らして得たものとは。

2019年7月~2020年7月の1年間、ニュージーランドでワーキングホリデーをしました。

ちょうど帰国して1年が経つので、この1年間を振り返りながら、改めてワーキングホリデーがもたらしたものについて考えていきたいと思います。

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ワーキングホリデー先にニュージーランドを選んだ理由は、涼しめの過ごしやすい気候とキャンプやトレッキングが盛んな豊かな大自然、治安の良さと優しい国民性などでした。

実際、ワーホリ後に移住していく日本人もとても多いです。ワーホリビザからワークビザに切り替えたり、IELTSというテストを受けて大学に行って学生ビザに切り替えたり、手段は様々です。年々ビザは取りにくくなっているようですが、がんばればチャンスはあるでしょう。

 

私はいくつかの個人的な理由から、帰国し日本で生活する道を選びました。その多くはNZでの経験がもたらした新しい価値観であり、優先順位であり、大切にしたいことでした。

 

外国で生活するということは、旅行することとはまったく違うものでした。10の家庭にホームステイし、NZの暮らし方・生き方を間近に体験することは新しい発見の連続で、日本の常識とは違う多くのことを吸収することができました。その後仕事をはじめてからは、日々の積み重ねで刺激がなくぼんやりと過ぎていく時間もあれば、ホームシックや孤独を味わう日々もありました。

https://www.tabito-yoga.com/entry/nzwwoof-south (ホームステイについてはこちらから。)

 

1つは仕事と時間に対するスタンスについて。

ある金曜日、16時前に買い物のためクライストチャーチの道を運転していると珍しく渋滞気味でした。「今日は金曜日だったわね、もっと早くに行くんだったわ。」なぜ混んでいるのか尋ねると、金曜日は15時過ぎからみなさん早帰りをするらしい!上司や同僚と飲みに行くのでもなく、家に帰り家族や友人・趣味の時間を過ごすのだ。日本は深夜まで仕事や付き合いの飲み会が毎日のようにあると説明すると、「翌日の効率も落ちるし健康に悪い。それを会社や上司は理解する必要がある。」おっしゃる通りです。

 

基本的には残業もしないようですし、NZは1ヶ月の休暇が法律で定められており、国内や海外を旅行する人が多いです。社会的な共通認識として、定時以降は返事がないし休暇中も返事がないのが当たり前で、みんなでそうやって仕事しています。

「仕事はお金を得るために大切だけど、お金よりも大切なものってあるよね。」というメッセージを胸に、自分の時間を大切にするようになりました。

日本で実践するためには、仕事を主体的に制限し、時間内にできないことはできないで通す強靭な精神力が求められるでしょうか。日本とNZの1人当たりGDPって同じくらいなんですよ。だとしたらNZ的な働き方の方がよくないですか?

 

2つ目は楽しむことについて。

誤解を恐れずに単純化すると、頑張らなければならないというプレッシャーからの開放と他人の目を気にしない精神です。


休みの日何してた?と聞くと、Just chill out.という返事をよく聞きます。意味はのんびりしてた。公園で本を読んだり、数人で車座になって話したり、ギター弾いたり、お昼寝してる光景をよく見かけました。

一般的な(?)イメージの家族や友人が集まってBBQをしたり、DIYをしたり、マウンテンバイクで遊んだりというのももちろんあります。

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私は中学高校と運動部で土日や長期休暇もほぼ毎日練習、大学受験の勉強漬け、就職してからも資格の勉強や英語の勉強など。全部好きでやってましたが、自主的にのんびりするって今までにない経験で。

公園の風景に溶け込むように、ただ座ってぼーっとしてると落ち着きました。

 

日本にいた時は、周りに置いていかれないように負けないように不安で必死で、そういうプレッシャーがずっとありました。全くそれがない環境ってあるんだなって目から鱗でした。


ヒエラルキーとか、他人と自分を比べるってことがないです。他人の趣味やファッション、持ち物などを羨んだりしないです。興味なしです。


見栄を張らない、マウントの取り合いとかない、自分のことと自分の大切な人たちに集中していて、リラックスして楽しむ。「足るを知っている」人が多くいました。

 

何のために頑張るのか?お金や社会的地位は私を幸せにしてくれるでしょうか?日本の頑張るシステムは、いい学校にいい企業に、年収アップのため資格取得とずっと何かに追いかけられて努力を強いられ疲れます。そんな神話も崩壊してる中で、自分の楽しむ時間を手に入れることの大切さを身に染みて感じました。

 

3つ目は人間関係について。
10のホームステイと3つの仕事といくつかのきっかけで、色んな国の人と出会いました。日本、NZ、イギリス、アメリカ、カナダ、デンマーク、フランス、ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、韓国、台湾、中国、タイ、フィリピン、インド、ドイツ、オランダ、南アフリカなど。

先入観と今までの旅行の経験から、海外の人はフレンドリーですぐに仲良くなれると思っていました。実際みんなと笑顔であいさつしたり、会話したりとコミュニケーションは多いです。ただ、当たり前なんですけど、共通の趣味や相応の英語力がないと仲の良い友達にまで関係は発展しないんですよね。洋楽を聴かないので、話題に入れない疎外感を味わったりしました。

 

自信を失くしていた時に、自然体でいられる友達ができて自尊心も回復し、自分が不適合なのではなくて単純に波長が合うか合わないの問題だったんだなと気持ちが楽になりました。

 

不慣れな仕事で要領が悪い時、軽んじられていると感じることがありました。その職場からはすぐに去りました。海外だからみんな優しいということはなかったですが、優しい人もいればやばい人もいて、次の職場では楽しく過ごせたので、自分らしくいられる環境に身を置くことの大切さを実感しました。

 

4つ目は挫折について。

英語力がないために、物事の理解力がないような扱われ方をしたことがあります。母国語だったら簡単にできることが難しかったです。外国で暮らしている人の不自由と周囲の理解の大切さに思い至りました。

 

急に住む家を追い出されたことがあります。知り合いの知り合いが(つまり赤の他人の方!)すぐに保護して住む場所を提供してくれました。

 

私が体験したいくつかの困難は、どうしようもない問題の被害者にだれしもがなってしまう可能性を初めて自覚させるものでした。助けてくれた人が本当にありがたかった。
日本にもさまざまな問題があります。藁にもすがる思いで助けを求めた私のように、だれかひとりの行動で助けられることもあります。無力でも微力でもないです。「あなたがもし解決策の一部でないなら、あなたは問題の一部である」私は常に解決策となるように行動していきます。

 

最後に、日本がどんどん貧しくなっていることの実感について。なかなか言語化が難しいのですが、肌で感じたこと。

NZに行く前にフィリピン留学をしていて、人口が増えて若い世代が多くて、新しいショッピングモールがどんどんできて、という経済成長している熱を感じました。そう遠くない未来に日本を追い抜いていくでしょう。


NZでは成熟した社会の豊かさを実感しました。


日本は本来豊かな国です。飲める水があります。山が海が森が、作物に適した土壌があります。

しかし、経済成長からは遠かった世の中で、全員が安心して生活できず一部の富める人だけが益々富む、歪な分配や分断が多くの人の問題として身近なものとなってしまいました。私たちは親の収入を超えられない世代なのだそうです。普通に働いていても貧困と隣り合わせです。

成熟した社会の豊かさとは正反対のおかしな方向性に進んでいることを、参政権を得て10年間放置してしまった責任を感じます。

 

1人のスーパーヒーローが全ての問題を解決してくれるのではなく、市民ひとりひとりが力を持っていることを、ぜひ知って欲しいです。

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